夏に溶けていく



だけど私に1週間ぶりにこの時が来た。


金縛りだ。


体が動かない。


私の場合、長い時で大体20分間。


恐怖で私の口からうめき声が出る。


すると、がさっという音がした。


私の元によってくる気配。


私は、右から抱きしめられた。


その人は…、紫央だ。


「落ち着いて、落ち着いて」


優しい声。


その声で癒された。


数分もすると、金縛りが解ける。


「大丈夫?」


「うん…、今日はいつもより早かった」


紫央が私から離れるかと思ったけど、むしろ腕の力を強めた。


「どのくらいの頻度?」


「週1くらい。1日大体20分くらい」


「長いな」


紫央の体温は暖かかった。


鼓動は聞こえるし、息が耳にかかってくすぐったい。


私もドキドキしていて、私の鼓動か紫央の鼓動か分からない。


「頑張ったな」


なんでこんなに優しいの。


今日会ったばっかりじゃん。


っていう私も危機感がないのがおかしい。


「離れた方が寝やすい?」


そう聞いてきた。


イエスもノー、どちらとも答えることのできる聞き方。


私は本能に従った。


「離れないで」


そう言うと、ん、と言った紫央。


頭を撫でてくれる。


長らく寂しかったんだ、私。


強いふりをして寂しさを誤魔化してたんだろう。


今になって人がいるという実感がやっと湧いた。


紫央に抱きしめられたまま、私は深い眠りについた。