「やっと会えた」
と、泣きながら花のようにフワッと笑う西宮さんを
素直に、可愛いと思った
彼女との出会いは去年の12月
クリスマスだというのに1人だけ苦しそうな顔をして
キラキラ光る街を走っていた彼女とぶつかった
どうやら付き合っていた彼氏に振られたようだった
辛そうなのに無理して笑うから俺まで苦しくて
「無理して笑わなくていい」と言うと
彼女の大きな目から滝のように涙が流れる
「本当に好きだったのに」
とぼろぼろ涙を流す彼女に
可哀想だな、と思いつつも
初めて会ったのに、
幸せになって欲しい
と、訳の分からない感情が頭をよぎった
小さくうずくまる彼女の頭に手を置いて
「大丈夫」
とだけ言った
気の利いたことを言えなくて
申し訳なかったけれど
彼女の曇りのない目を見ると
この子は真っ直ぐで良い子なんだろうとわかったから
この言葉だけで十分だろうなと思った
「また会える?」
と聞く彼女に、俺は
「きっと会えるよ」
と返した
だって、西宮さんとは
絶対にまた会えると思ったから
「ほら、会えたでしょ?」

