「あ...」
私は、莉子と約束していることを思い出した。
カフェで待ち合わせ、か。今は、本当にしんどくて、莉子にも会いたくなかったけれど、頑張って足を動かした。
カフェは、学校から2分くらいで着いてしまう。暗い顔なんて、見せられない...。
私は一生懸命作り笑いの練習をして、カフェに入った。

「いらっしゃいませ〜、何名様ですか?」
「あ、待ち合わせなんですけど...」
「あ!一葉様ですね!お客様は、奥にいらっしゃいます。ご案内しますね。」
「はい...」
練習した作り笑いを浮かべながら、店員さんに着いていく。
「こちらのお席です。ごゆっくりお過ごしください♪」
「ありがとうございま...ッ、⁉︎」
莉子の方に視線を向けると、そこにいたのは莉子....じゃなくて、結城くんだった。
「えっと...、こんにちは」
結城くんは、少し緊張したように挨拶する。
「え、え、ど、どうして...っ⁉︎」
困惑して、私の顔はどんどん赤くなっていく。
なんで、結城くんが...っ!!
すると、彼は真剣な顔をして、
「一葉さんに、言いたいことがあって...」
ま、まさか、莉子と付き合っていること⁉︎
せ、精神が、持たないよ...。
悲しくなってしたをむきながら、
「な、なんですか...?」
と言う。
「突然で、びっくりすると思うんだけど...」
そうですよね、私の友達と付き合っているなんて、知らなかったですから...。
ぎゅっと、つばさのキーホルダーを握る。
「実は、」
ゴクッ
「一葉さんのこと...ずっと好きでした」
.....え。
「え、えぇ?」
「俺と、付き合ってくれませんか?」
真っ赤な顔の結城くん。
って、えぇぇぇぇぇぇーーーっ⁉︎⁉︎
「え、え、でも、結城くん、莉子と付き合ってるんじゃ....?」
混乱した私は結城くんに聞いてみる。
「真中さん?付き合ってないけど...」
「で、でも、今日、廊下で....」
「あ、あれは、真中さんに...」
話を聞くと、結城くんは、教室に帰る途中で莉子に呼び止められたらしい。そして、放課後に、近くのカフェへ行くように言ったそうだ。きっと、莉子は、結城くんと私が両思いであることを知っていたから、きっかけを作ろうとしたのだろう。
結城くんは、緊張した面持ちで、もう一度私に聞く。

「俺、ずっと一葉さんのこと、好きだった。よければ、付き合ってくれませんかっ?」

信じられないけど、夢じゃない夢。ずっと叶えたかった、幸せな夢。
嬉しくて、嬉しくて、涙があふれてくる。
莉子、ありがとう...!
そして、結城くん、大好き...っ!

「私で良ければ、よろしくお願いします...っ!」

私の頬を、温かい涙がつたった。