「ゆうは、告白とかしないの?」
唐突に投げかけられた言葉にビクッとする。
こ、告白ッ、ですか...っ⁉︎
「し、しないよ...」
結城くんのことは、好きだけど。
.....怖いから。
「怖いの?フラれるのが?」
私の心をピシャリと言い当てた莉子。
ず、図星すぎる...ッ!!
「...結城くん、かっこいいし...、きっと私に告白なんかされても、嬉しくないだろうし...」
私は俯きながら、言う。
そ、そうだよ...私なんか...。
「ゆう」
いつもより少し低い、莉子の声。そっと目線を上げると、莉子はとても真剣な顔をしていた。
「告白しないと、誰かに取られちゃうよ?」
おちゃらけた感じではない、本気の鋭い目。
胸がドクンとする。

誰かに、取られる...。
そ、それはっ....。
何も言えなくて、沈黙。

そこへ、
「マジ疲れたーっ」
「腹、ペコペコー!」
「帰り、どっか寄ってかね?」
「いいな!そうしよ〜」
男子たちが、外から帰ってきた。
莉子は、
「放課後、近くのカフェで待ち合わせしよ」
と一言だけ言って、席を立つ。
「う、うん...」
気まずい雰囲気を断ち切れなかった...。
私は、結城くんにもらった、小さなつばさのキーホルダーをながめる。一学期、隣の席になった時にもらった、大切なもの。私の名前に“羽”がはいっているからって。

「告白しないと、誰かに取られちゃうよ?」

莉子の言葉を思い出す。
結城くんと、可愛い女の子が手を繋いで歩いているところを想像して、胸がキュッとなる。
....やっぱり、莉子と、話しよう。


私、結城くんに告白する、って。