幸先輩が甘く迫ってくるのですが。

「うん。ほら、よくやるでしょ?」



幸先輩はそう言って、繋いだままの小指を揺らしながら。



「指きりげんまん嘘ついたら針千本のーます…ってさ」



そこまで言われて、ようやく理解した。



え…もし約束破ったら、とんでもないことされるってこと…?



さ、さすがに針千本とかは飲まされないだろうけど、それに準ずることされちゃうんじゃ…!?



さーっと血の気が引いていく私の顔を見て、幸先輩はくすくす笑った。



「…ふっ、うそうそ。冗談だよ?」



「じょ、うだん…?」



「ひなみちゃん本気にするんだもん。もー…ほんと可愛い」



「っ…!」



あぁ、だめだ。



からかわれてるだけ。



面白がって、そんなことを言ってるだけだってわかってるのに。



「っもう…幸先輩は、ずるすぎます」



幸先輩のペースにまんまと嵌って、抜け出せない。



「可愛い」と言われたら胸がきゅっとなって、息が苦しくなる。



顔が沸騰したみたいに熱くなって、触ったら火傷してしまいそう。



「…そーゆー顔、俺以外にも見せんの?」



そんな中で、ボソッと一言こぼした幸先輩。



「え…?」



聞き取れなくて、思わず聞き返すけど。