幸先輩が甘く迫ってくるのですが。


もっと軽い感じで、お出かけしようみたいなニュアンスで来るかと思ってた。



なのに…。



「ひなみちゃんの1日、俺にちょーだい。それで…ずっと、俺のことだけ考えてみて。俺も、ひなみちゃんのことだけを考えるから」



心臓を鷲掴みにされたように、ぎゅっと苦しくなった。



あまりにも真剣な幸先輩の表情に、ドキッとしてしまう。



先輩はきっと、女の子慣れしてて。



どう言えば相手がキュンとするのか、わかった上で言葉を選んでるんだ。



だから、それに惑わされちゃいけないってわかってる。



わかってる……んだけど、さ…。



「っは、はい…」



心が、理性に追いつかないの。



「…ほんと?」



幸先輩の嬉しそうな笑み。



ハッとした時にはもう遅かった。



ぱあっと花が咲いたように微笑む幸先輩が、指にきゅっと力を込める。



「じゃあ…約束しなきゃね?」



「や、約束…?」



って、どういうこと…?



この話自体が約束じゃないの…?



なんかもういっぱいいっぱいで、まともに考えていられない。