幸先輩が甘く迫ってくるのですが。

もうこの手にはかからない…!!なんて思ったのに。



「幸先輩がそれでいいなら……」



とか言っちゃった。



私は天性の馬鹿なのかな…?



学習しないよね、ほんと。



見て?幸先輩の顔。



「え、ほんとにいいの?」



超ニッコニコなの。



目をまん丸にして驚きつつも、瞬時に口角が上がった。



朝といい今といい、なんでそんなに嬉しいのか本当に意味不明なんですが…?



「場所と時間は要相談ってことにしよ。あ、それとも今から当日について話しながらお昼でも食べる?」



しかもその上ランチまで誘ってくるし…!



一体なんなんですか!



「と、友達を待たせてるので!」



一応全力で断ると、今度は眉を下げた。



「そう…じゃあ仕方ないね。俺もそんな感じだし」



「ダメじゃないですか。戻ってあげてください」



「…うん」



「うん」て…。



どうして残念がっているんですか、って聞きたいくらいに落ち込んでいる。



うーん…わからない。



昨日の保健室で豹変した幸先輩と、今目の前にいる人が本当に同一人物なのかと疑いたなってしまうほど。



最近はますます人間の謎が深まるばかりだ。