幸先輩が甘く迫ってくるのですが。


なぜか私の手にはクリームパンといちごミルクが。



「代金は気にしないでよ。俺のおごりってことで」



しかも全然お金受け取ってくれないし。



「えぇ…そう言われても…」



やっぱり納得いかないよ。



私はお金の貸し借りとかあんまりしたくないタイプ。



だからこういうのはちゃんとしておきたいっていうのが本音。



うーんと唸っている私を見かねて、幸先輩がとある提案をしてきた。



「…ならさ、その代わりに今度ひなみちゃんの時間をもらうっていうのはどう?」



「…私の時間?」



…とは?



よくわからなくって首を捻ると。



「一日、俺とデートしてくれない?」



にこり、キラキラスマイルが炸裂した。



「えっ!?」



で、でででデート…!?!なんで私…!?



幸先輩なら私じゃなくても、もっと他の子がいるんじゃないの…??



それに、クリームパンの代償が幸先輩とのデートってなんか割に合わなくない…?



「…ダメ、かな?」



うるうる、幸先輩の瞳が揺れる。



これはきっと朝と同じ作戦。



背後に見えるゴールデンレトリバーは幻覚だ。