幸先輩が甘く迫ってくるのですが。


そんなに心配しなくてもいいんじゃないかなぁと思いつつ、親指をぐっと立てた。



「それは大丈夫です…!幸先輩が助けてくれたので」



幸先輩は私のサムズアップに「ならよかった」と笑みをこぼすと同時に、クリームパンを渡してくれた。



「はい、クリームパン。これで良かったんだよね?」



「そうです…!ありがとうございました!これで午後の授業も乗り切れます」



お昼抜きになるかもと思ってたから、幸先輩が助けてくれて本当に良かった。



幸先輩って普通に優しいんだなぁ…とか何気に失礼なことを思いつつ、まだ代金を払ってないことに気がついた。



「今お金払いますね。いくらでしたか?」



手に持っていたお財布から小銭を取り出そうとしたんだけど。



「ん?いーよこれくらい」



あっさり言われてしまい、一瞬ぽかんとしてしまう。



「い、いやいや…!そんなわけにはいきませんよ!百円でしたか?二百円でしたか?」



無理やり渡そうとするものの、幸先輩は自分のペースに持っていくのが上手いらしい。



「だからいいって。あ、あとひなみちゃんに渡したい物があって…はい、さっきおばちゃんからもらったいちごミルク」



「なんでそうなるんですか!」