やっぱり二年生と三年生には叶わないのかな…。
「ゔゔ…もーやだ…」
もう諦めようかと思っていた、そんな時。
「おばちゃん!クリームパンとコロッケパン一つずつお願い!」
普段よりも大きく、それでいてイケメンボイスは保たれたよく通る声が聞こえて振り向くと。
「ひなみちゃん大丈夫?…じゃ、なさそうだね。ちょっとあっち行ってな?」
私よりも遥かに背の高い幸先輩がいた。
しかも、私の背中を押して人の群れから追いやろうとしている。
「へっ…?いや、あの、幸せんぱ…」
「私パン買いたいんですけど」なんて口を挟む間も与えてくれない幸先輩。
「後で持っていくから、そこら辺で待ってて」
意味がわからぬままそう言われてしまい、気づいたら人混みから抜け出していた。
…ええっと、これはどういう状況で…?
一人ポツンと蚊帳の外。
あとはもう、幸先輩の言葉を信じて呆然と立ち尽くす他ない。
少し離れたところで様子を伺っていると、程なくして幸先輩がこちらに向かってきた。
「お待たせ。さっきも言ったけど大丈夫?足踏まれたりしてない?」
両手にパンを持ちながら、こちらを心配そうに見つめている。



