幸先輩が甘く迫ってくるのですが。


「それ大丈夫なの?ひなみ潰されない?」



「大丈夫!じゃあ行ってくるね!」



ツッコミを入れる怜美にピースサインを作って、そのまま一階へと向かった。



一年生の教室は四階。



購買があるのは一階。



だから授業が終わり次第急いで行かないと、なかなか欲しいパンが買えないのだ。



二年生は三階、三年生は二階…といったふうに下がっていくらしい。



いいんだか悪いんだかって感じだよね。



早く二年生になりたいなぁと思いながら、急ぎつつ転ばないように階段をどんどん降りていく。



「はぁ〜やっと着いた…じゃなくて!早く行かなきゃ!」



購買にたどり着いた頃にはもう既に疲れきっていたけれど、スーパーのタイムセール並に群がっている人たちを見て私も飛び込んだ。



「焼きそばパン!」



「メロンパンとサンドイッチくださーい!」



「ちょ、俺が先だろ!!」



…やっぱり戦争だ。



みんな食料確保のために必死らしい。



私がいや俺がと、譲り合いの精神もへったくれもない様子。



なんて醜い争いでしょう。



……の前に。



「く、クリームパン…!クリームパンくださ…ゔぇっ」



あまりにも皆が押し寄せてきて、人の波にもまれてしまい注文どころじゃない。