幸先輩が甘く迫ってくるのですが。


ボソッとこぼすと怜美が訝しげにこちらを見てきた。



「…なにが?」



…尋問かな?目が本気で疑ってるときのそれ。



怜美、なんか警察かみたいだよ、って言いかけて飲み込んだ。



「ううん、なんでもないよ。独り言ー」



「独り言でかくない?」



「そう?普通普通」



───キーンコーンカーンコーン



「あ、予鈴だ」



「ほんとだ。じゃあね、ひなみ」



「うん、また後で〜」



ふぅ…よかった、ナイス予鈴。



警察官になりかけていた怜美の目をなんとかかいくぐり、ほっと一安心。



ただ、これだと嘘がバレるのも時間の問題かも…。



怜美に必要以上の心配をかけたくは無い。



何がなんでも隠し通さなきゃ。








午前中の授業を乗り越え、先生が教室から出ていったあと。



怜美に話しかけるため、廊下側の一番前という私とは真反対の席へと移動した。



「私は購買行くんだけど、怜美は行かない?」



「お弁当あるから平気。一緒行こうか?」



なんだかんだ言って、やっぱり優しいなぁ。



普通なら面倒くさくて来たがらないよ?



「へーき!お昼の購買は戦争だからね」