ボソッとこぼすと怜美が訝しげにこちらを見てきた。
「…なにが?」
…尋問かな?目が本気で疑ってるときのそれ。
怜美、なんか警察かみたいだよ、って言いかけて飲み込んだ。
「ううん、なんでもないよ。独り言ー」
「独り言でかくない?」
「そう?普通普通」
───キーンコーンカーンコーン
「あ、予鈴だ」
「ほんとだ。じゃあね、ひなみ」
「うん、また後で〜」
ふぅ…よかった、ナイス予鈴。
警察官になりかけていた怜美の目をなんとかかいくぐり、ほっと一安心。
ただ、これだと嘘がバレるのも時間の問題かも…。
怜美に必要以上の心配をかけたくは無い。
何がなんでも隠し通さなきゃ。
*
午前中の授業を乗り越え、先生が教室から出ていったあと。
怜美に話しかけるため、廊下側の一番前という私とは真反対の席へと移動した。
「私は購買行くんだけど、怜美は行かない?」
「お弁当あるから平気。一緒行こうか?」
なんだかんだ言って、やっぱり優しいなぁ。
普通なら面倒くさくて来たがらないよ?
「へーき!お昼の購買は戦争だからね」



