「台無しだなんて思わないで下さい。私、部長の奥さんのように寛大な人になりたいんです。だから、変に気を遣わないでください」
綿谷先生は私のことをジロリと見て、「宇野女ちゃんが?」と言いたげな目をして笑った。
「……そ、そりゃあ部長の奥さんのようになるには程遠いですが、なりますよ、だって綿谷先生の隣に立っても恥ずかしくない女性になるって決めたし!」
「えー、うーん。じゃあ、宇野女ちゃんは俺に執着してくれる?」
綿谷先生の言葉が一瞬理解できなくて、「え?」と聞き返してしまった。
「…………執着、ですか?」
「そう。部長の奥さんってブレないでしょ。部長に執着してるでしょ。そんな愛が俺もほしいなー」
「…………私、ブレそうですか?」
「うん。因みに俺は、宇野女ちゃんに一年会えなくてもずっと想ってたけど、宇野女ちゃんはそうじゃなかったもんなー」
綿谷先生は拗らせに拗らせた想いを今更掘り返してきた。



