陽気なドクターは執着を拗らせている。



 近くの喫茶店へ入り、隅のテーブルに座る。


 私の隣に綿谷先生、綿谷先生と向い合せで部長が座った。コーヒーを3つ注文し、運ばれてきたと同時に、武平部長は口を開いた。


「忙しいんで手短にお願いしますよ。仕事に戻らないといけないので」


 私と目線を合わさず、淡々と告げる武平部長。


 有給を取ったはずの部長はまた仕事に戻るらしい。


 綿谷先生は「では、手短に話します」と前置きをし、

「奥さん、違う病院にかかられているんですか?」

 部長に奥さんの通院のことを質問した。部長は綿谷先生の質問に顔を歪ませながら答える。


「妻の症状はもう完治したんじゃないんですか? 妻からそう聞きましたけど」

「近々手術を開始しましょうかって話をしてたんですよ。完治どころか、症状は進行しています。何で急に治ったなどと言ったのか、原因は分かりますか?」


 綿谷先生の質問に部長は目を泳がせた。すかさず、綿谷先生は質問を続ける。


「あなたが僕のところには行くなと言ったんですか?」