「宇野女ちゃんは悪くないよ。部長の奥さんって狭心症なんだよね。俺の所に来るまでは、胃痛でいろんな病院を転々としてたらしくて、胃カメラや血液検査をしても異常なくて、とりあえず胃薬を渡されただけだったんだって。狭心症の発見って見つけにくいんだよね……」
「もし、他の所で誤診されて、放置してたらどうなるんですか……」
「心筋梗塞を引き起こして死ぬね」
…………死。そ、そんな……
部長の奥さんがそんなに重大な病気だったなんて知らなかった。硬直する私に綿谷先生は話し続ける。
「今まで薬でなんとか騙し騙しやってたけど、もうそろそろ、心臓カテーテル治療か、冠動脈バイパス術をしましょうかって話てたんだよね。薬で進行を遅らせてたとはいえ、そろそろ限界だったからさ……薬も何ヶ月分って渡してるわけじゃないし」
「他の病院にちゃんと狭心症で通院してるなら、まだ良いんだけど……」と、曇ったままの表情の綿谷先生に言葉が出ない。
「………わ、私……明日朝いちで部長に会いに会社に行きます。奥さんのこと、聞いてみます……」



