「じゃあさ、宇野女ちゃん。今の会社にいて、部長と同じ部署で働いて、部長とこれまでの関係を無かったことにして働ける? 無理でしょ?」

「…………」


 確かに、それもそう言われてみればそうだ。


「それにさ、部長も宇野女ちゃんが切れたら違う女探したいと思うよ。なのに、宇野女ちゃんがいたら探すにも探せないでしょ。きっと宇野女ちゃんのこと、邪魔モノ扱いだと思うよ」


 『よく考えてみてよ』と言われ、この日、綿谷先生から『家に来て』と言われることもなく、1週間後、またここに来るという形で一旦保留になり解散した。


 綿谷先生が言っていた『宇野女ちゃんが切れたら違う女探したいと思うよ』この言葉は当たっていた。


 土日が過ぎ、部長に会うことを気まずく思いながらも会社に出社すると、部長は最近入ってきた新人女子、釜橋さんと親しげに話していた。


 二人を見て呆然とする私の元に、矢田がやってきて、


「宇野女が来る30分前、部長、釜橋さんに連絡先聞いててさ。なんか高そうな腕時計渡してたよ」


 コソッと教えてくれた。