「何よ」 「よく見たら雰囲気もいつもと違う」 「…ど、どう?」 私は髪を手で撫でながら聞いてみる。 「似合わん。泉(いずみ)が色気付くな」 即答でそう返され、私は「うるさい!」と言って持っていたカバンを思い切り柏木くんの足にクリーンヒットさせた。 あ、ちなみに、泉は私の名字。 泉(いずみ) 清香(きよか) 隣の席の柏木くんに片思い中の高校2年生。 早足で自分の席に向かうと、後ろで「お前…っ、カバンに鉛でも入れてんのか」とスネを押さえて悶える柏木くんが視界に入った。