君の嘘から始まる本当の恋

玲央はハッと自分の口元を押さえると、「んんっ」とわざとらしく咳払いをした。



「…ちょうど暇だし、行ってやってもいい」


「…そっか。じゃあ決まりだね」



やっぱり玲央がどこまで演技をしているかなんてよく見てもわからないけど、今は…少し嬉しそう。


わずかに微笑む玲央に、そう思った。





ついに玲央を騙す一日前、桜祭りの日になってしまった。


春休みに入ってから玲央とは一度も会っていないけど、メールをしたり電話をしたりしていたのでそこまで久しぶりとは感じない。



「…あ、玲央。ごめん待った?」



鳥居の前で私服だからかいつもよりかっこよく見える玲央が、スマホをいじりながらすでに待ってくれていた。