「だけどあいつに先越されたし、…名前で呼び合ってるし、すっげぇムカついた」


「…え?」



そっぽを向いている天峰くんをそっと上から覗き込むと、熱でかそれとも別の理由でかはわからなかったけど、顔を真っ赤にしながら明らかに拗ねていた。



「えっと…天峰くん?」



天峰くんはそっぽを向いたまま微動だにしない。


これはもしや…。



「…れ、お。…玲央」



名前を呼ぶと、天峰くんはゆっくりとこちらを振り返った。



「…おまえは俺のそばにずっといればいいんだよ。他の男のとこになんて行くな」



…ねえ天峰くん、それも嘘なの?それとも…。



「…うん。私は玲央のそばにいるよ」



どっちだったとしても、私は君のそばにいたいって、そう思ってしまった。


…私は、絶対に好きになってはいけない相手を、玲央を好きになりかけてしまっているんだ。