「…っ、だから!おまえが喜ぶと思ったからだよ!」



何を言っているのか全くわからなくて、ぽかーんと間抜けな顔で天峰くんを見上げる。



「…なんか俺がしたから怒って俺のこと避けてるんだろ?考えてみたけどいまいちわかんなくて、だからとりあえず女が喜ぶこと調べたんだよ。そしたら女は海に行くのが好き、って書いてあったから、ここに連れてきた」



…つまり、天峰くんは私に許してほしくて、喜ばせようと思って、ここに連れてきてくれたってこと?



「…なんで?だって別に私に避けられたって、天峰くんが困ることは何もないでしょ?」


「なんでって…誰だって好きな女に避けられたら傷つくだろ」



そういう設定だとわかっている。わかっているのに…。



「…ごめんね、避けて。でも本当に天峰くんに怒ってるとか、嫌いになって避けたわけじゃなくて…テストに集中したかっただけ。本当にそれだけだから。気にすることは何もないよ」


「…はぁー。なんだよ、よかった…」