え、と声が漏れる前に天峰くんは「じゃ、おやすみー」と言って本当に私の膝の上で寝てしまった。


無理矢理どかすのも気が引けて仕方なくスマホをいじるフリをしながら、うるさい心臓を止めることに必死だった。



心配してくれたり、急に距離を詰めてきたり、可愛いって言ったり…。


天峰くんのテクニックがすごすぎて、これはうっかりしていたらチョロい私が落ちるのも時間の問題だ。


このままではダメだ。もっと気を引き締めなくては…!





「日直、号令ー」


「きりーつ」



ホームルームが終わり、クラスメイトがわらわらと教室を出ていく。



「なな…」


「乙葉!帰ろ!今日寄りたいとこあってさー」