まだ、見てるだけ。




「〜っと、西野川瀬ペアは進んでるか〜?」

「ふぇっ、?!」

後ろからいきなり声をかけられて、変な声が出てしまった。

「おい琉世、おどろかんせんなよ」


西野がそういう。どうやら原のようだ。

「ほんとに!変な声出たんだからね!」

私も少しだけ口を尖らせて言う。

「川瀬、案外かわいい声だったけどね〜?」

少し笑いを含めた声で原が言う。

「っえ、な、何言ってんの?!」

かわいいなんて誰にも言われたことなくて、いきなり言われてびっくりした。

ドッドッドッドッ…

心臓のあたりが、少し騒がしい。

いくらなんでも、原だって立派なイケメンであって。

私を見つめる目は、綺麗な二重で人懐っこい笑顔でそんなことを言わないでほしい。

「ふっ、照れた?」