3ヶ月経っても、黎矢は例の彼女と別れる気はないようで。それでも私の“好き”は消えてくれない。消えろ消えろと願っても、恋の神様は意地悪してくるんだ。

残暑の9月、もうすぐ10月というのに暑い。
たまたま柊二と帰ることになった。待っててくれたらしい。


「…その後どうなんだよ」

「その後?」

「黎矢が付き合いだして、お前の気持ち」

「別れないねって、思ってるよ?」

「まだ好きなのか?」


こういう話題には疎い柊二が、そんなことを聞いて気にしている。


「柊二がそんなこと気にするなんて珍しいね」

「…いや、別に」

「まだ好きだよ、たった3ヶ月で諦められるわけないじゃん」

「そうか」


反応はそれだけだった。あっさりだな。

素っ気ないけど、これがいつもの柊二でもある。

明日も苦しいのかな。黎矢に彼女ができて3ヶ月。することもしてるんだろうな、とっくに。キスしてる所を見た時、チラリとお相手の顔が見えた。サラサラのストレートヘアで、大きいクリっとした目だった。私みたいな、一重で寝起きはチベットスナギツネみたい私が黎矢の彼女になれるかも!なんて、なんとも馬鹿なこと考えたもんだ。