「…おい」


気にせずこちらにやってくる。


「…私が、私が黎矢の彼女になりたかった…!」

「うん」

「何で、知らない女の子と付き合ってるの?!」

「うん」

「1番近くにいたの私なのに…!」

「分かったから、いっぱい泣け」


そう言って、柊二は私を抱き締めてきた。


「俺で悪かったな」


私は横に首を振る。こんな時に優しくされると困る。

柊二の肩に手を当てて、しばらく泣いていた。


「落ち着いたか?」

「…うん、ありがと」


そのまま一緒に帰ることになった。
半分くらい歩いてから、


「今日部活じゃないの?」

「雨の中グラウンド使えないだろ」

「あ、そっか」

「涙と一緒に脳みそ出てったのか?」

「うるさい」


家に着いて、いつもと変わらず、じゃあねと告げる。

明日がきてほしくない。一緒に登校するのがこんなに憂鬱なのは初めてかもしれない。

翌朝、いつものように3人で通学。


「…いや、何でお前いるんだよ」

「え!俺なんかハブられるようなことした?!」

「彼女と行けよ」

「あーなんだ、そういうことか。いや、あの子電車通学だから」

「あっそう、彼女できたら一緒に行くもんだと思ってた」

「柊二って文武両道だけど、恋愛には疎いよねー。彼女も1人いただけだし、しかも1ヶ月しないうちに別れてたし」

「掘り返さないでくれ…」