そんな毎日が、ずっと続くと思ってた。
夏本番になってきた7月の朝。
いつものように3人で登校する。
「そういや、俺彼女できた!」
「えっ?」
「いやぁ、昨日放課後に後輩の女の子から告白されてさー。可愛いから付き合うことにした!」
「理由軽っ」
柊二がそう返している時、私は胸がドキドキとして言葉が出なかった。朝から急な失恋?勘弁してよ。
毎日会ってて、少しくらいは期待だってしてたのに。
儚い願いは、奇しくも砕かれてしまった。
授業中も上の空。現実じゃないみたい。むしろ現実でなくていい。さっきのは夢の続きだ。黎矢に彼女ができた?そんなの嘘だ。…でも、悔しいけど本当なんだよな。
部活が休みの今日は、体力的に楽だった。そうじゃなくてももう既に疲れている。
黎矢のことで頭がいっぱいだ。
私が…彼女になりたかった……。
雨降りの放課後、昇降口から出て気付いた。
空き教室の窓際で、黎矢とよく知らない女の子がキス、してる。
私、泣いてる。ほぼ反射的に泣いていた。空と一緒に泣いてる。
疲れてんな、私、疲れてんな。それだけだ。
「傘、忘れたのか?天気予報も見ないバカな奴め…真美?」
背中を向けていたのに、顔を覗き込んでくる。
「な、なんでもない!ちょっと疲れちゃってて!」
「何で嘘つくんだよ」
「嘘なんか、じゃ、ないよ」
黎矢に彼女ができたのは、嘘じゃない。現に見てしまったわけで。
私は顔を隠すように、柊二からそっぽ向いた。