たまたま持ってきていたジャージに着替え、教室に戻る。柊二も偶然持ってきていたらしい。
帰り道。物騒なことがあったから、と柊二が私を待ってくれていた。
「ありがとう」
「いや、心配だから当然だ」
柊二も冷たく見えて実は優しい。
ふと、教室に目をやった。
前に黎矢と彼女がキスしていた教室だ。
なんだかまた悲しくなってきた。彼女がいてもいいから、生きててほしかった。
思わずその場にしゃがみこみ、泣いてしまう。
「どうしたよ、急に」
柊二がすぐにしゃがんで、私に寄り添う。
「つらい…つらいよぉ…!」
「分かってる」
背中をさすって、落ち着くようにしてくる。
またあの日みたいに、柊二に抱きついて肩で泣く。
気付いたら抱きついていた。私の心はそれほどボロボロだったんだ。
「よしよし」
珍しく柊二が甘いほどに優しく、頭を撫でてくる。
その場に座り込んで、私を慰めてくれる。