ポーカーフェイスか…うーん。何だろう、このモヤモヤ感。


「真美は、好きな人亡くして悲しいか」

「…苦しいよ、そりゃ」


そんなことを話しながら、裏口の段差に座って弁当を開く。


「何箇所も刺されたらしいな」

「こんな平和で警察要らずの街で、まさか幼なじみを巻き込んだ殺人事件起こるなんて…。未だに信じられないよ」


食べ終わって、片付けていると、バケツを持った女子生徒がやってくる。
そしてそのバケツの水をこちらにぶちまけてきた。


「な、何?」


隣を見ると、柊二もしっかり濡れている。


「何?じゃないわよ!黎矢くん返してよ!」

「返してって言われても…私だって犯人なんか知らないし」

「絶対あんた、黎矢くんのこと好きだったでしょ。そんで彼女できて、僻んで殺したんじゃないの?HRの時泣いてなかったし!」

「私じゃない!」

「無意味な争いはやめろ。真美は違う」

「じゃあ五ノ上くんなの?」

「なんでそうなるんだよ、好きで幼なじみ殺す奴いるかよ」


彼女たちは今ヒステリックな状態なんだ。
話し合っても埒が明かない。


「柊二、着替えてこよ」

「ああ、派手に濡れたからな…」


柊二は少し女子たちに睨みつけて、立ち上がった。


「こわっ」

「行こ、もう」


女子たちも空になったバケツを持っていなくなった。