先生、それは✗✗です…!

そう言って茶髪の人は、隣に座るナチュラルセンターパートの黒髪の男の人の肩を組んだ。


「ほら、太一(たいち)!お前も自己紹介!」


理人さんに促され、わたしの対角線上に座る黒髪の人は持っていたビールのグラスをテーブルに置いた。


「…鳥羽(とば)太一です」


それだけ言って、視線をそらしてまたビールを飲み出す鳥羽さん。


一瞬、その場に沈黙が流れた。

鳥羽さん以外のだれもが、『え?それだけ?』と思ったことだろう。


「ごめんね、みんな。こいつ、昔から変わったやつでさ〜」

「そうそう。今どき、スマホ持ち歩いてないんだよ。ずっと家に置きっぱなしで」

「え〜!連絡とかどうするんですか?今日の集まりとか」

「昔から時間にはきっちりしてるから、遅れることはないんだけど。それに、太一が勤務する職場も時間には厳しいだろうしな」