両手から溢れる愛を


「10回目……じゃなかった。11回目だね」
「……覚えてなかったのに?」
「思い出したからいいの!」

さっきまで覚えていたのが恥ずかしいって言ってたくせに。


「てか、傘差してたら手ぇ繋げないんだよな」
「これからいっぱい繋げばいいじゃん」
「……ふっ、ははっ。そうだな。付き合ってるんだもんな」


改めてそう言われるとなんだか恥ずかしくて、ばっと両手を前に突き出す。


「もう両手じゃ数えられなくなっちゃった」
「俺の両手がまだあるよ。あと足もある。俺足の指めっちゃ器用に動かせるから、数くらい数えれるよ」
「あはは、なにそれ」
「それに」


傘を持ってない方の三島の手が伸びて、私の指に絡みつく。


「数えられなくなっても、全部覚えてるよ。氷川のことなら、全部」


冷えたその手が触れたところが、熱いような冷たいような変な感じだった。


「私も、全部覚えてる」
「日傘のこと忘れてたのに?」
「もう! それは思い出したからいいの!」


三島が笑う。
それにつられて私も笑った。


きっと三島は全部受け止めてくれる。
私から溢れ出た、その愛を。



              〜fin〜