この幸せだけ、持ち帰りたいの。

 私も下駄で歩き出す。

 カランコロン、カランコロン、カランコロン。
 また、一人ぼっちの寂しい音に戻っちゃった。

 でもでもでも。
 可愛いって言ってくれたもの。
 私のために、私を思い出して、キーホルダーを買ってきてくれた。

 北海道で私を思い出してくれたんだもん。

 あの子より、私の方が好かれてる。
 絶対絶対、そうだもの。

 夏より、熱い、何かが私の心で燃える。

 カランコロンと強い下駄の音。

 激しい想いを知った、夏――。