「お久しぶり~やっぱりこっちはまだ暑いね」
「えっ……えっ……」
やだやだやだやだ、パニックだよ。
え、どうしよう心臓がバクバクだよ。
どうしてどうして吸血鬼吸血鬼吸血鬼吸血鬼だ!!
「あ、ごめんね。急に声をかけてしまって……変質者だね」
「きゅ、吸血鬼だから大丈夫です!」
「吸血鬼でも、こんなの変質者だよーごめんね。でも会えて良かった」
えっ、なに、この、突然のボーナスステージ!?
私に会えて良かったって言った!?
「これお土産」
吸血鬼はチェック柄の小さな紙袋を私の目の前に差し出した。
「え!?」
「開けて、確認してみて」
中を開けると、それは北海道のちびバニちゃんキーホルダーだった。
「言ってたやつ、それで合ってる?」
「こ、これです。これです。わ、私に? どうして……」
「あーなんかこれかな? って思って……迷惑じゃなかったら受け取って。バイトの僕が言うことでもないけど、いつも店に来てくれてありがとう~」
「嬉しいです、ありがとうございます」



