……もう、私はあなたの事なんか忘れちゃうんだからね……。
カランコロンと下駄に浴衣で歩く。
どっかでお祭りがあるのか、浴衣の人も歩いてる。
まさか散歩とコンビニに行くだけとは思わないよね、この浴衣娘が。
カランコロン、カランコロン、カランコロン。
一人ぼっちの音。
夏が終わっちゃうか……この思い出が最後かな。
風が吹く、なんだろう、柳の葉が切なそうに揺れてるよ。
私の夏、なにもなく……終わっちゃう……。
「あ、月ちゃん」
えっ……。
突然に名前を呼ばれて、心臓が跳ね上がる。
この声……。
振り向いたら、吸血鬼だった。
黒いTシャツで、牙を見せて笑ってる。



