【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~


 それから何か起きるわけもなく、夏休みはどんどん過ぎていく。
 コンビニで働き始めた女の子はもう、仕事を覚えたみたい。

 元気に『いらっしゃいませ』してくれる。

 なんにもない16歳の夏。
 お母さんにダラダラし過ぎと怒られた。
 現実なんてこんなもの。
 
 そして夏休みも終わる頃に、お母さんにせっかく買ったんだから浴衣を着て散歩でも行きなさいと言われた。
 そんで夕飯に浴衣を着たまま、お父さんと話しでもしてやりなさい~と。なにそれ。

 まぁお母さんが着付けを楽しそうにするから、私はまた浴衣を着た。

 尾瀬君の事思い出しちゃうな。

 あの夏祭りメンバーでのグループメールは結構頻繁にみんなで話してる。
 私と尾瀬君以外は、みんなカップルになった。
 恋人同士でメールをしていればいいのになぁと思う。

「はい、いってらっしゃい」

 また帯、キツイ。

「はぁーい。お小遣いちょうだい、アイス買ってくるから」

「いくらなんでも最近アイス食べ過ぎよ」

 そう言いながら、お母さんはお金をくれた。
 だって愛す不足なんだもん。

 吸血鬼がいないせい。