私の名前は月子って言うんですよ。
あなたは知らないですよね、吸血鬼さん。
え?
「……いま、なんて?」
「あーあの、俺と付き合ってほしいなって……」
私は最低だ。
この人の前にいても、考えるのは吸血鬼の事ばかり。
告白を二回もさせるなんて……なんて酷い女なんだろう。
「ごめんなさい……私……」
小さな声で私は言った。
あぁ、楽しく遊べる友達が減っちゃったかな。
でも彼は優しく笑って『友達としては、まだこれからもよろしく』と言って帰って行った。
友達からのメールで、彼が尾瀬君という名前だと知った。
渡辺でも田中でもなかった。
ごめんね……尾瀬君……。



