【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~


「えっ……?」

 あ……見てる事、バレちゃった。

「えぇ……どうしたの? 一人?」
 
 吸血鬼が私に気付いて、素っ頓狂な声をあげた。
 ……よかった……いつものコンビニにいる吸血鬼だ。

「あ、あの……きゃっ……」

 ま、また雷!
 家のなかでは平気だけど、外だと怖い……丘の上だし。

「だ、大丈夫?」

 彼は驚きながらも私の傍に来てくれた。

「あ、あの僕、びちゃびちゃで不気味だけどコンビニの……」

「わ、わかります」

「そ、そっか。こんな場所に女の子が一人で危ないよ……待ち合わせ?」

「い、いえ……散歩です」

「さ、散歩って……」

「散歩です」

 私は自分の傘を、吸血鬼の頭上にかざした。
 でも、吸血鬼が優しく私の頭上に傘を戻す。

「僕は風邪ひかないから」

「吸血鬼だから……?」

「そうだよ。君はまだ病み上がりなんだから……散歩は済んだ?」

「……はい、でも一人で帰れます……」

 彼の一人での……あんな切ない儀式を見せられて邪魔しちゃいけないと思った。

「僕も、そろそろ帰るよ」

「……そうなんですか……?」

「うん、だから家まで送るよ」

「狼男にはならないから?」

「うん、僕は吸血鬼だからね」

 べっちゃり濡れた髪を彼はかきあげた。
 オールバック?
 わ……印象変わるっと思ったら、彼はざざっとまた長めの前髪を元に戻す。