どうか、どうか桜よ散らないで……。
ささやかな想いを私は願う。
彼がこんな状況を見たらどう思うだろう。
せめて明日起きる彼が、晴れ空の桜を見られたら……いいのに。
でも、次の日も雨だった。
まだ雨は降って、降って、降って、やまない。
こんな暗い雨の夜には、女子高生は出掛けられない。
でも、私は出掛けた。
お母さんが帰ってきたから19時なら、まだ大丈夫。
コンビニに、キャラクタークジを引きに行くって……嘘を付いた。
ごめんね、お母さん。
でも少し、雨は弱まってたし……少しなら……と思って。
丘の公園へ……。
いるわけないし、すぐ帰ろう。
そうだ、吸血鬼はいなくても帰りにコンビニに行けば嘘じゃない。



