私も桜が大好きなのに、全然ゆっくり見れてなかった。
吸血鬼の後ろにも、大きな桜が朝陽に揺れている。
「あの、いつ桜見るんですか?」
「うん、明日の夜に起きたら……かなー?」
「夜桜とか?」
「に、なるね~」
「どこの桜が綺麗なのかな~?」
直接聞くのは恥ずかしいから、とぼけて言ってみた。
「あっちの丘の桜が、綺麗なんだ」
ああわかる。
そこに行くの……?
そこに行ったら、会えるのかな……。
「あ、学校大丈夫?」
「えっ!? あぁ!」
私の横を同じ制服の子が自転車で通り過ぎていく。
やばい!
電車が!!
「いってらっしゃい! 頑張って……!」
青白いのに、あったかい笑顔。
「はい! いってきます!」
吸血鬼はフラフラなのに、私はなんか思いっきり元気のいい返事をしてしまった。
時間もないから私は走って駅まで行った。



