「あ、あの……っ」
「ひゃい……? あ……」
吸血鬼は相当疲れ切った顔をしていた。
でも私が声をかけたってわかると、にっこり笑ってくれた。
疲れて帰るっていう人を引き止めて、何やってるの私。
「ありがとう。栄養ドリンクのおかげで頑張れたよ」
一人でアワアワしてる私に、先に吸血鬼が答えてくれた。
朝陽が眩しいのに、大丈夫なのかな。
「あのアイスありがとうございました、私もおかげで元気になれました」
「うん、良かった。頑張ったね」
……もう……優しい……優しいの……。
「か、身体、大丈夫ですか?」
「うん、これから三日間、休みもらえたよー」
かなりボロボロになってるように見えるのに。
「たったの三日……」
「十分、十分。今から寝て~明日の夜に起きるよ、桜が散る前でよかった。じっくり桜を眺めたかったんだ」
あ、そうだ。
いつの間にか、桜が満開になってる。



