私たちのキョリ

 私たちは公園に入って、ブランコに並んで腰かけた。

「ちっちゃいころ、ここでよく遊んだよねー」

 私はわざと、明るい声で言う。

 拓海に、何も言わせないために。

「覚えてる? 学校帰りにさ、家に帰らずにランドセルをその辺に置いて遊んで、何度も怒られ――」

「あのさ」

 拓海に言葉を遮られて、私は口をつぐむ。

「もう……一緒に登下校するの、やめないか?」

 その言葉に、私はがんと頭を殴られたようにショックを受けた。

「この前、おれのチームメイトにはやされたじゃん? 美波はやっぱりそういうの……いやだろ?」

 いやだろ、か。

 私にそう聞くってことは、やっぱり拓海はそういう関係がいやなんだ。

 想いを伝えよう、という気持ちが少し揺らぐ。

 ……だけど、決めたんでしょ?

 もう一人の自分が、怖じ気づく私に言う。

 そうだ。

 勘違いされたままではいられないよ。

「だけど、おれは――」

「拓海!」