やっぱり、いつもの拓海じゃない。

 いつもはしゃべりながら乗っている電車の三十分間が、ずっと気まずかった。

 ようやく電車を降りると、家まではあと少ししかない。

 今日言おうって思っていたのに……なんかそういう雰囲気じゃないよ!

 心の中で頭を抱えていると……少し前を歩いていた拓海の背中にぶつかりそうになった。

 急に立ち止まったことに、気づかなかったんだ。

「ごめん、どうかした?」

「……ちょっとここで話せないか?」

 そう言って拓海が指し示したのは、小さいころに二人で駆け回った小さな公園。

 その表情は真剣で。

 私はいやな予感がしながらも、いいよ、とうなずいた。