部活が終わっていつもの場所に行くと、珍しく拓海はいなかった。

 いつもは拓海の方が早いのに。

 そう言えば、今週末は試合なんだっけ。

 きっと、それだけだよね?

「……悪い、美波。遅くなった」

 数分後、小走りで拓海はやってきた。

 その声のトーンが少し低い気がして、私の胸に小さな不安がよぎる。

 だけど、その不安を吹き飛ばすように、私はあえて明るい声で言う。

「私もさっき来たところだから大丈夫! お疲れさま。さ、帰ろっ!」