「わかるよ。わたしも、彼がどう思ってるかわからなくて、今の関係を壊してしまったらどうしようって、何度も踏みとどまったもん」

 結花が、ゆっくりと言葉を選びながら言ってくれる。

 そう。私が一番恐れているのは、今の関係が変わってしまうこと。

 私が拓海のことを『好きな人』として見ていると知ったら、拓海はどう思うんだろう。

 そう考えると……怖いんだ。

「……でも、自分の気持ちを伝えるのは、すごく大事なことだと思うよ。気持ちを伝えることで、その人に意識してもらうことができるかもしれないし。それに……」

 そこで一度言葉を切ると、結花はちょっとうれしそうに言った。

「自分の気持ちを言葉にすることで、相手のことを、もっと好きだと思えるようになるんだ」

 相手のことを、もっと好きに……。

「がんばれ、美波ちゃん! 私は、自分で決めたことにはいつも全力な美波ちゃんが大好きだよ」

「う〜、私も好きっ!」

「その言葉は、水原くんに言ってあげてね」

 ニコッと笑いかけてくれる結花に、私は大きく頷いた。