「結花~っ!」

 翌日の昼休み。

 中庭のベンチで、私は高校で出会った親友、嶋田結花に泣きついた。

 結花は中学の時から付き合っている彼氏がいて、恋愛において大先輩。

 私が拓海のことが好きだと知っている唯一の人で、時々相談に乗ってくれるんだ。

「『好き』って、どうやって言ったらいいのかな……」

 結花は、うつむく私の頭をよしよしとなでてくれる。

 そんなに重い空気にしたくない。

 さらっと言ってしまいたかったのに。

 朝、一緒に登校するときに言おうと思っていたのに、いざ本人を目の前にすると言えなくて。

 学校でも、移動教室の時とかに何度も近づいてみたけど、そのたびに全然違う話を始めてしまう。

「『好き』って、こんなに言えないものなんだね」