いつものように二人並んで歩き出すと、ちょうど学校のすぐそばのコンビニから一年のサッカー部員たちが出てきた。

「ん、じゃーな!」

 気づいた拓海が、手を振る。

 そのまま二人で歩いていく……けれど、後ろからさっきのサッカー部員たちがついてくる声がする。

 まあ、駅はこっちだししょうがないんだけど。

 でも、気がかりなのは、同じクラスの林田がいること。

 別に、悪いやつじゃないんだよ?

 じゃないんだけど……思ったことが素直に口に出ちゃう、というか。

 余計なこと、言わないでよね……と思った矢先。

「水原と川瀬って、ほんと仲いいよなー。もしかして、付き合ってたり、なんて――」

「「はっ、はあっ!?」」

 その言葉で、二人同時に振り返った。

 だから余計なこと言わないでってば!

 もしも私の気持ちに気づかれちゃったら、どうするのよ!

 心の中で叫ぶけれど、もちろん林田には届かない。

「べ、別に拓海のことなんてなんとも思ってないし!」

 慌ててそういって、ね? と拓海の顔を見る。

「だ、だよなー! おれだってこんなサルみたいな女と付き合いたかねーよ」

 拓海のその言葉に、私はカチンときた。

「はあっ、何それ!? だれがサルよ! 私だってこんながさつな男、好きになるわけないじゃん! 拓海が彼氏なんて、こっちから願い下げだよ!」

 勢いで言ってしまってから、あぁーーっと頭を抱えたくなる。

 どうしよう。私、拓海のこと、好きなのに。

 絶対女子として見られてないだろうと思ってたけど、こんなこと言っちゃったら余計に……! 

 ぎっと林田をにらむと、林田は「え、なんかごめん……」と言って黙った。

「林田! 変なこと言うなって! 帰るぞ、美波」

 拓海は少し不機嫌そうにそう言うと、ずんずん歩き出した。