キミに「好き」だと伝えたい



海は、お父さんの仕事の都合でここから遠く離れた関西へと、引っ越していってしまうのだから。


ヒューッ、ドーン!


今日は、8月30日。


明日の8月最後の日に。夏の終わりとともに、海はこの町からいなくなってしまう。


嫌だよ、海と離れるなんて。


赤ちゃんの頃から、幼稚園、小学校、中学校と今までずっと一緒に過ごしてきたのに。


私は、海に先ほどもらった白クマのぬいぐるみを胸の前でキツく抱きしめる。


鼻の奥がツンと痛んで、夜空の花火がだんだんとぼやけて見えてくる。


「……っ」


泣いちゃ、ダメだ。


私は泣きそうになるのを、必死に堪える。


海と見る最後の花火なんだから、しっかりと目に焼きつけなくちゃ。


私は、再び空を見上げる。


赤、青、黄と、色とりどりの光が次から次へと夏の夜空を照らしていく。


花火もそろそろ、フィナーレへと向かう頃だろうか。


「……なぁ、純夏」

「なっ、なに?」


突然海に呼ばれそちらを向くと、花火の光に照らされた海と目が合う。


「あのさ、純夏。俺、純夏のこと……」