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4月後半
学校で生徒会選挙の話が回り始めた。



そんなある放課後、
私は生徒会室の前でウロウロ
ふと中から篠崎先輩が出てきて、
私は慌てて呼び止めた。



『先輩!生徒会に入るにはどうしたらいいですか?』

「え?初音生徒会やりたいの?」



くるりと私を振り向きざまに、
その綺麗な瞳を見開く先輩
昇降口に向かう、その背中を精一杯追いかける



「なんで、明らかに向いてないのに」

『えぇ……後輩の希望の芽をそんな簡単に摘まないでくださいよ……』

「まさか立候補の理由って……俺?」

『他に何があるんですか?』

「いや、もしそうだったら無理そうだなって思って」



呆れ顔で腕を組み、廊下の角を曲がりながら
先輩は、ため息をほわりとついた



『じゃ、じゃあ!その時は先輩が助けてください!』

「それは絶対にできないからね」



そんな風に話をしながら、
気がついたらふたり、
並んで昇降口まで来てしまった。



『あのー、先輩もし良かったら一緒に、』

「帰らないね」

『ですよねー…』



ガクリと肩を落とす私を見て、
先輩は愉快そうにまた軽く笑い声をあげた。
なんだかんだ、
私たちの距離は縮まっているのかもしれない。



だけどその時気がついた
私と話している先輩が、
通り過ぎていく学生たちにジロジロ見られている




なんだろう。
先輩が、やっぱりかっこいいからかな…?