制服レモネード

「矢吹さん、よく似合ってますよ」

「鼻隠れてるし、目も大きくなって、俺かわかんないわ。別人」

2人でいろんなパターンの加工を一通りやってみて、待ち時間を潰す。

なんか、すごいカップルみたいなことしてるじゃん私たち!

「ねぇ〜列全然進まないじゃ〜ん」

「お前が乗ろうって言ったんだろ?」

ん??

アプリで矢吹さんと楽しんでいると、いきなり、前のカップルがさっきよりも大きめな声で話し出す。

彼女さんの方が、退屈してきたらしい。

「だって、ユウくんもずっとだんまりだもん!暇!私といて楽しくないの?」

「はー?何言ってんの。楽しくないと来るわけねーだろ?」

うわうわ、これが噂の痴話喧嘩というやつなのか!

初めてこんな近くで目の当たりにして、固まったまま彼女たちの様子を見つめることしかできない。

「嘘だよ。さっきだって可愛い子、目で追っかけちゃってさ。ユウくん、私のこと好きじゃないんだよ!」

「だから、そんなわけないだろ?」

「じゃあチューしてよ!」

っ?!

彼女さんのセリフに思わず、私と矢吹さんは顔を見合わせてしまう。

こんな屋外、しかも人が多い場所で「チューして」なんてお願いができるなんて。

すごい。

「バカ、するわけないだろ恥ずかしい」

「っ、好きな子のためだったら恥ずかしいとか関係ないじゃん!」

いや、関係あると思うけど、なんて内心思いながら、私は時折目線を逸らしながらも2人の様子を眺める。

「あー、もう、わかったよ」

えっ?!わかったの?!
するの?!こんなところで?!