制服レモネード

「矢吹さん、怒ってないんですか?」

「……怒ってるよ」

「ですよね……」

怒られていても、今、大好きな彼に抱きしめられているこの状況ににやけそうになるのを必死に我慢する。

「それよりも、ダメな自分に一番腹立つけど」

「……ダメ?」

「梓葉と会えなかった時間、もちろん、仕事が忙しかったもの本当。でも、ダメなんだよ、梓葉といると、その……」

矢吹さんがそう言って手を離したので、私は泡のついた手を水で流してから、クルッと後ろに全身を向けた。

「私といると、なんですか?」

彼の目をしっかり見て、そう聞く。

矢吹さんの目は少しキョロキョロして、それから彼の耳がほんのり赤くなったのが見えた。

「……無理、梓葉の顔見て言えない」

矢吹さんは片方の手で自分の顔を覆うと、その指の隙間からチラッと私の方へと目を向けた。

そんな、私がいじめてるみたいな顔……しないでほしい。

こんな子供みたいな、弱ってるように見える矢吹さん、初めてだ。

「何ですか、矢吹さん」

「っ、」

グッと、顔を近づけると、矢吹さんが息を止めたのがわかった。

「ほんと無理、大人だから我慢しろとか無理なんだよ」

「……え?」

独り言のようにつぶやかれたセリフの意味が分からず、聞き返す。