先生!見ちゃダメ!





「失礼しまーす…」

「どうぞ。クッションの上、座っちゃっていいからね。飲み物とか取ってくるから、課題広げて待ってて」

「はーい」




部屋を出ていく千晴くんを見送り、手早く課題や筆記用具を取り出し、こっそり部屋を見渡す。



物が少なく、服が散乱しているわけでもなく、整えられた部屋だった。

唯一たくさんあるものは、本棚に隙間なく詰められた文庫本や参考書たち。

小学生のときに来たときは、もう少し物があったし、本棚もこんなにいっぱいになってなかった。

部屋の形や場所は同じなのに、知らない部屋に来たみたいで少し寂しくなった。



―――千晴くんはなにか、見られたらまずいものとか、隠してたりしないのかな。

少しだけ魔が差した。

けれど、もしなにかが見つかったりしたら千晴くんのイメージが崩れそうで嫌だし、そんな場面でちょうど千晴くんが戻ってきたりしたら、せっかく縮まったかもしれない距離がゼロどころかマイナス行きだ。


やることがなくなった私は、千晴くんに聞くところを見つけるためにも先に課題を始めることにした。

苦手な数学でも、最初の数問は解けるはず。

そう思って解き始めたけれど、2問解いたところで脱落した。自分が思っていた以上にできなくて凹んだ。


するとちょうど、千晴くんが戻ってきた。