「明日、何してる?」

「明日? 日中は夏期講習に行って、夜は家にいると思うけど」


返答を聞いた有斗は少し考える素振りを見せた後、腹を括ったようにわたしを真っ直ぐに見た。


「明日、なるべく早く帰るようにする。だから、そっち行っていいか?」


何だか切羽詰まったような有斗の声に、ざわりと嫌な胸騒ぎがした。

わたしが頷くと、有斗はほっとしたように息を吐く。


「じゃあ、また明日。帰れる目処が立ったら、また連絡するから」


じゃあな、ゆっくり休めよ。そう言って、有斗はそっと窓を閉めた。




連絡の後、有斗がうちにやってきたのは21時を目前にした頃だった。

ちょうどお母さんが帰ってきたところで、有斗くんも大変ねぇなんて言葉を聞きながら部屋に続く階段を上った。


「ご飯は? 食べてきたの?」

「あぁ。軽くだけど」


わたしの部屋に入るなり、有斗は床に腰を下ろした。

疲れた様子で深い息を吐く。

どうすればいいのかわからず、有斗にクッションを差し出しつつ有斗の傍に座り込んだ。